2026年7月22日
雨の日はいつも、いつもの店で済ませてしまう
晴れている日は、駅から少し遠回りして気になっていたパン屋に寄ってみたり、隣町まで歩いて新しい定食屋を覗いてみたりできます。行動範囲は、思っているよりずっと広いものです。
なのに雨が降ったとたん、その範囲は一気に縮みます。傘を差して10分歩くくらいなら大した距離じゃないはずなのに、なぜか「今日はやめておこう」という判断が先に立ってしまいます。天気予報のアイコンが傘マークに変わっただけで、行き先の候補が半分くらい消えていく感覚があります。
濡れたくないのではなく、面倒が増えるのがつらい
雨の日に新しい店へ行くのを避けるのは、単に濡れたくないからだと思っていました。でも実際に考えてみると、それだけではない気がします。
傘をどこに置くか、店の入口が濡れた床のままで滑りやすくないか、荷物を膝の上に置く羽目にならないか。晴れの日なら気にもしないことが、雨の日は一つひとつ判断のコストになります。知らない店はただでさえ勝手がわからないのに、そこに雨用の段取りまで重なると、気持ちが先に折れてしまいます。
傘を差しながらスマホの地図を確認する動作も地味にしんどいものです。画面は濡れるし、看板を探して顔を上げれば雨粒が目に入ります。新しい店を探すという行為は、もしかすると晴れている日の余裕の上にだけ成り立っていたのかもしれません。
傘立てがあるかどうかも、雨の日だけ急に気になり出す項目のひとつです。店の外に傘立てが見当たらないと、濡れたままの傘をどう扱えばいいのか一瞬迷います。カウンターの下に置くのか、席の脇に立てかけるのか、そんな些細なことすら初めての店では見当がつきません。普段なら気にも留めない小さな不安が、雨の日はやたらと目についてしまいます。
雨が続く週は、行動範囲そのものが狭くなっていく
梅雨の時期や、天気が数日おきに崩れる週は、単発の雨の日以上にこの傾向が強くなります。一日だけの雨ならまだ「明日晴れたら」と先送りできますが、雨の日が続くと、その先送りの先も雨だったりします。
そうしているうちに、傘を差して知らない店に向かうという発想自体が頭から抜け落ちていきます。近場のコンビニと駅前のチェーン店だけを行き来する生活に、いつの間にか慣れてしまいます。天気が回復した頃には、もう新しい店を探そうという気持ちの方が萎んでいることも少なくありません。狭くなった行動範囲は、天気が戻ったからといって自動的には元に戻りません。
月に何日かは、開拓の機会がまるごと消えている
結果として、雨の日はいつも同じコンビニか、駅前のチェーン店で済ませることになります。それ自体は悪いことではありません。効率のいい判断だと思います。
ただ、月に何日かある雨の日の分だけ、新しい店に出会うチャンスがそっくり消えているのは、少しもったいない気もしています。晴れの日にはちゃんと気になる店を探せる自分がいるのに、天気ひとつでその自分がいなくなります。年間で数えれば、決して少なくない日数がそこに埋もれています。
雨だから仕方ないと片づけてしまえばそれまでですが、天気に選択肢を明け渡しているだけとも言えます。
探す作業がなければ、傘を差した距離でも動ける
雨の日につらいのは、店を探して比較する作業そのものだと気づいてから、その工程だけ手放せないかと考えるようになりました。行き先さえ決まっていれば、傘を差して数百メートル歩くくらいはむしろ何でもありません。
私が作っているRoambleというアプリは、現在地から近い店を3件だけランダムに提案します。営業中かどうかも先にわかっているので、雨の中で地図とにらめっこする必要がありません。気になった一軒に向かって、傘をたたんで中に入るだけでいいのです。
提案された3件を見比べる時間もいらないので、傘を差している時間そのものが短くて済みます。濡れる前に店に着けるかどうかも、あらかじめ考えなくてよくなります。
次に雨が降った日、いつものコンビニに向かう前に、ほんの数百メートル先の知らない店を覗いてみるのも悪くないかもしれません。