2026年7月21日

引っ越して半年、行きつけの店が一軒もないことに気づいた

引っ越してきたばかりの頃は、間違いなくやる気があったんです。段ボールを片付けながら、「この街のいい店、片っ端から開拓してやろう」と思っていました。

それから半年経って、ふと気づきました。

この街で、自分の行きつけと呼べる店が一軒もない。

知っている店を数えてみると、駅前のスーパー、コンビニ二軒、あとはチェーンのラーメン店とコーヒーチェーンが一店ずつ。全部、前に住んでいた街にもあった店です。半年住んで、この街固有の場所がひとつも増えていません。

行きつけは、勝手に貯まるものだと思っていた

前の街には、行きつけと呼べる店がいくつもありました。でもそれは、意識して開拓した記憶がほとんどありません。何年も住んでいるうちに、通勤路の途中で見かけて、そのうち入って、気に入って、それが自然と積み重なっていっただけです。

長い年月が勝手に堆積させてくれていたものであって、自分が能動的に作ってきたわけではなかったんです。

新しい街では、この堆積が最初からやり直しになります。しかも今度は、仕事や引っ越し後の諸手続き、新しい生活リズムへの適応で毎日が埋まっている。かつて何年もかけて積もった土地勘を、忙しい日々の合間に一から作り直さないといけません。

どの店が当たりなのか、何を頼めばいいのか見当がつかない。駅からの帰り道、知らない店の前を通っても検討する余裕がなくて素通りする。結局、知っているチェーン店に入れば失敗しないという安心を選ぶ。土地勘がないというのは、店を選ぶたびに毎回ゼロから吟味しなければならないということです。判断材料が何もない状態で店を選ぶのは、地図なしで知らない街を歩くのと同じくらい疲れます。だから疲れた一日の終わりほど、迷わず入れるチェーン店に流れてしまう。

怖いのは、この状態が半年や一年で自然に解消されるとは限らないことです。忙しさが理由で開拓が止まっているなら、忙しさが続く限り、この街は寝るために帰る場所のままになります。

気づけば三年住んでいるのに、駅の反対側に何があるかも知らない。近所の人におすすめの店を聞かれても、答えられるのはチェーン店の名前だけ。住んでいる年数と、その街を知っている度合いは、実は別物なんです。

知識のかわりに、仕組みを持ち込む

土地勘がないなら、土地勘に頼らず店を選べばいい。必要なのは知識ではなく、行き先を決める仕組みのほうでした。

私が作っているRoamble(ロームブル)は、現在地周辺のお店をランダムに3件だけ提案するアプリです。今どこにいても使えるので、住んで一日目の街でも、住んで五年目の街でも、開拓のスタートラインは同じになります。提案された店にピンとこなければ引き直せて、「ここへいく!」を押した店がその日の行き先になります。訪問するとXPが貯まり、レベルが上がってバッジが解除されていきます。

土地勘が必要な工程を丸ごと外に出してしまえば、残るのは店に入る一歩だけです。開拓した店の数は記録として残るので、半年後に振り返ったとき、この街のこと、ちゃんと知ってきているなと実感できるようになります。

新しい街で行きつけを作るのに、長い年月は要らないはずです。

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