2026年7月21日
「どこでもいいよ」と言われるたび、結局私が店を決めている
「どこでもいいよ、任せる」
この一言が出た瞬間、内心で小さくため息をついています。言った本人はもう何も考えていません。考えるのはこっちです。誰が辛いもの苦手だったっけ、誰がお酒飲まないんだっけ、前回どこ行ったんだっけ。頭の中でLINEのグループ履歴を遡りながら、候補を絞っていきます。
気づけばいつも同じ顔ぶれで、いつも私が店を探して、いつも同じような店に落ち着いている。誰も悪いことはしていないのに、なぜか毎回私だけ疲れています。
決め役が背負っているのは、検索の手間じゃない
店決めがしんどいのは、ググるのが面倒だからじゃありません。辛いもの苦手な人、お酒を飲まない人、予算を気にする人。前回と同じ系統は避けたいという、誰も口に出さない期待。混んでいたら気まずいし、まずかったらもっと気まずい。全員の顔色をうかがいながら、外れたときの空気だけは自分で引き受ける。頼まれてもいないのに、そういう役回りになっています。「どこでもいい」と言った本人には、たぶんこの重さはまったく見えていません。
無難な店に逃げるほど、行動範囲は固まっていく
この責任から逃げる一番手っ取り早い方法は、外さない店を選ぶことです。前に好評だったあの店、失敗の記憶がないチェーン店。自分を守ろうとするほど、選択肢は勝手に絞られていきます。
厄介なのは、これが自分にしか見えていないことです。周りは「今日もいい店選んでくれてありがとう」で終わる話が、こっちでは「また同じような店しか出せなかった」という小さな消耗として積もっていく。新しい店を提案するのは、外れたときに評価が下がるリスクを自分で背負うことと同じだからです。
結局そのグループの行動範囲は、決め役の冒険心ではなく決め役の疲労度で決まってしまいます。
決める人を変えても、この負担は消えない
決め役を交代しても、同じ重さが別の人の肩に移るだけです。必要なのは、店を選ぶという作業そのものを人間の役割から外すことでした。
そこで、現在地周辺のお店をランダムに3件提案してくれるアプリを作りました。Roamble(ロームブル)といいます。ボタン一つで周辺の営業中のお店が3件だけ出てきて、ピンとこなければ何度でも引き直せます。訪問すればXPが貯まり、レベルが上がってバッジも解除されていきます。
提案された店をそのままグループに見せれば、それで終わりです。誰かの好みで選んだわけでも、誰かが責任を取るべき決定でもありません。「アプリが出したから」の一言で、選定の空気を丸ごと持っていってもらえます。
次に「どこでもいいよ」が来たら、代わりにアプリを開いてみてください。決め役を降りた分、こっちも純粋に店を楽しめます。