2026年7月13日

本当に美味しい店は、レビュー評価だけじゃ見つからない

気になるお店を見つけたとき、まず何をしますか。

たぶん、スマホで検索して評価を見るはずです。星3.2。……うーん、微妙。じゃあこっちは? 3.4。悪くないけど、決め手に欠ける。そうやって画面をスクロールしているうちに、結局「3.8で口コミ500件」の有名店に落ち着く。私も長いことそうでした。

なかには「評価3.5以下の店には入らない」というマイルールを持っている人もいるかもしれません。失敗したくないから、数字で足切りする。気持ちはとてもよくわかります。外食は1回あたり千円以上かかる真剣勝負ですから、ハズレは引きたくない。

でも最近、ふと考えてしまうんです。

その星の数って、本当に「美味しさ」を表しているんだろうか?

評価スコアは「美味しさの点数」ではなく「レビューを書いた人の平均値」

当たり前の話ですが、評価スコアを付けているのはお店ではなく、レビューを書いた人たちです。つまりあのスコアは美味しさの計測値ではなく、「たまたまレビューを書く気になった人たちの感想の平均」なんですね。

ここに、いくつかの偏りが混ざり込みます。

まず、レビューを書く人は全員ではありません。ものすごく満足した人と、ものすごく腹が立った人が筆を執りやすい。普通に美味しくて普通に帰った大多数の人は、何も書きません。地元の常連さんに愛されて何十年も続いている店ほど、口コミが3件しかない、なんてことが平気で起きます。

次に、評価の軸が人によってバラバラです。観光で一度だけ訪れた人は「話のネタになるか」「写真映えするか」で星を付けるし、近所の人は「毎週通えるか」で付ける。接客が忙しくてそっけなかった、駐車場が狭かった、そういう料理と関係ない理由の星1も、全部同じ「平均点」に溶けていきます。

そして平均というのは、尖ったものを均してしまう計算です。10人中8人が「人生で一番好き」と言い、2人が「口に合わなかった」と言う店。こういう店こそ面白いのに、平均を取ると案外普通の数字に落ち着いてしまう。

念のため書いておくと、これはレビューサイトや地図アプリが悪いという話ではありません。私も毎日使っていますし、営業時間や場所を調べるのに欠かせない道具です。ただ、数字だけを頼りに店を選ぶと、数字に表れない店には永遠にたどり着けない。それだけの話です。

スコア順に選び続けると、どの街に行っても「同じ店」にたどり着く

もうひとつ、スコア依存には静かな副作用があります。

評価の高い順に並べ替えて上から選ぶ、という選び方をしていると、行き先がだんだん似てきます。評価が高い店は口コミが多い店で、口コミが多い店は有名な店。つまり、みんなが並んでいる行列の最後尾に、自分も並びに行っていることになるからです。

旅行先でスコア上位の店を検索して、行ってみたら県外客ばかりの行列店だった。並んで、食べて、たしかに美味しかったけれど、これなら地元の駅前にもあったような……という経験、ありませんか。

その一方で、検索結果の2ページ目より奥には、口コミ8件、写真3枚、でも30年続いている定食屋が静かに存在しています。数字の世界では見えないけれど、暖簾の色褪せ方が「当たり」を物語っているような店。本当に美味しい店との出会いの何割かは、たぶんこの領域に眠っています。

スコアは失敗を減らしてくれます。でも同時に、大当たりも減らしてしまう。ハズレを引かない代わりに、「なんだこの店、めちゃくちゃ良いじゃん」という、あの鳥肌の立つ瞬間まで手放しているんです。

たまには、評価を見ないで入ってみる

じゃあどうするか。答えは拍子抜けするほど単純で、たまに評価を見ないで店を選ぶ。これだけです。

すべての外食をそうしろとは言いません。記念日のディナーはちゃんと調べたほうがいい。でも、平日のランチや休日のお茶くらいは、数字抜きのくじ引きに任せてみる余地があります。

くじ引きの何が良いかというと、期待値の設定が変わることです。スコア3.8の店に入るとき、私たちは「3.8ぶんの満足」を先に約束された気になっています。だから少しでも下回るとガッカリする。逆に何の前情報もなく入った店は、普通に美味しいだけで嬉しい。当たりだったら、もう誰かに話したくて仕方なくなる。

それに、自分の舌で「ここは当たりだ」と見つけた店は、レビューで知った店とは愛着の桁が違います。誰のお墨付きでもない、自分だけの店。そういう店が生活圏に2、3軒あるだけで、外食はけっこう楽しくなります。

問題はひとつだけ。前情報のない店に入るのは、ちょっと勇気がいるということです。だから仕組みに頼ります。

くじ引きを仕組みにしたアプリを作りました

Roambleという、気になる店に入れる自分になるためのお店開拓アプリを作っています。

やることはシンプルで、現在地の周辺からアプリが行き先のお店をランダムに提案してくれます。評価順に並んだリストから選ぶのではなく、くじ引きです。ピンとこなければ引き直せるので、無理やり感はありません。

そして、新しい店に入れたら訪問を記録してXPが貯まり、レベルが上がってバッジがもらえます。「知らない店に入れた」というささやかな手柄が、ちゃんと形になって積み上がっていく。この積み上げがあると、次の一軒の腰が驚くほど軽くなります。

レビューの点数では出会えなかった店と、そこに入れた自分。その両方を集めていくアプリです。iOSアプリとして公開中なので、次のランチはたまには星の数を見ないで、下のボタンから決めてみませんか。

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ランダム提案で選ぶ手間をゼロに。訪問するたびにXP・バッジが積み上がる。
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